哀れな喫煙者を救え!
今や喫煙は、非社交的な習慣になったと言ってもいいのではないでしょうか。 煙草を吸って良いか、一言断らなければ煙草に火を点けれない情況が、 会社でも食事中やお友達の家でも経験するようになり、 もうこの流れは、逆戻りしないと喫煙者でさえも気付いていることでしょう。
会社の同僚や上司、親戚やお友達に先を越され、 未だに喫煙者として取り残され惨めな気分にもなり、 しかも、煙草は身体に悪く不経済なことも承知しているが、 それを認めてしまうとタバコを吸う理由がなくなるので、 喫煙者は、自分自身に嘘をついているのだと本書の著者は、指摘しています。
そして、タバコの幻想を信じる事に努め、 他人に宣伝する事で自らを正当化し自尊心を保っていると続けられています。 これには、目から鱗がパラパラと落ちてきました。 そんなバリバリの喫煙者にいくら禁煙の素晴らしさを説いても、 まともに聞こうとしないし、聞く事を恐れ逆上されるのがオチなのかもしれません。
本書でも、禁煙するときがきたら質問してくるだろうから、 その時には、その人を助け、その人の不安を取り除いてあげ、 禁煙の素晴らしさを教えてあげることを勧めています。 そして、本書を紹介してあげることも良いと、さりげなく宣伝していましたが、 もちろん、異論はありません。
繰返しになりますが、私がこの本と出会ったのが禁煙2ヶ月を過ぎた頃で、 既に、タバコを吸わない事が日常と思えるようになってきた頃だったのですが、 正直、他人の禁煙相談を受ける自信はありませんでした。 ただ、何も言わなくてもタバコを吸わなくなった私を見て、不安の一部が取り除かれたのでしょう。 一人の喫煙者を救える所まで、おびき寄せる事はできました。
そうやって、おびき寄せた手前で無様な事は出来なくなり、 私の禁煙成功確率が飛躍的に高くなったような気がします。 そういう意味で禁煙セラピーは、宗教感に似た 「喫煙者を救えば、自分も救われる」と説いているような気もします。
もう一つ大事な著者からのメッセージで、喫煙者を羨ましがったりしないで、 彼らこそあなたの哀れみが必要なのです。とありますが、 決して、タバコが美味しいとかリラックス出来るから吸っているのではなく、 そう思い込んで吸わされている病人だと知ると、理解して頂けるのではないでしょうか。
彼らの乗った船は、まさに今沈みかかっています。 危険を察知した者から一人、また一人と船から去っています。 もしも身近に危険を察知した喫煙者がいれば、どうぞ、救いの手を差し伸べてあげて下さい。 そして、決断をすれば誉めてあげて下さい。きっと嬉しいはずです。